AI Notebooks は現在ベータ版となり、ClickHouse Cloud 上の Managed ClickStack をご利用のすべての ClickStack ユーザーに提供されています。
Managed ClickStack 向け AI Notebooks のプライベートプレビューを開始します。
この新機能は、AI の支援を受けた ClickHouse ベースのオブザーバビリティによってシステムを調査する、新しいアプローチを導入します。チャットウィンドウに AI を閉じ込めるのではなく、構造化されたワークスペース内に組み込むことで、SRE のコアワークフローに AI を直接統合します。エンジニアは、(Anthropic 社の Claude モデルを介した)AI をループ内の協調者として活用し、ログ、メトリクス、トレースを探索できます。Notebooks は、自律型の AI SRE が単独で動作するものではなく、エンジニアが主導権を握り、調査の各ステップを導く AI ネイティブなワークフローです。
Notebooks は、ライブデータに対して段階的に調査を進められる永続的なワークスペースを提供します。エンジニアは自然言語で質問して異常を調査したり、モデルの中間的な推論を確認したり、実際の ClickHouse クエリを実行・編集したり、コンテキストを失うことなく別の調査方針へと分岐させたりできます。個々のアクションは、確認、調整、拡張が可能な可視化されたワークフローの一部となり、舞台裏に隠されたロジックはありません。
その結果、ログ、メトリクス、トレース全体にわたる詳細な分析のための、透明性が高く人間主導の環境が実現します。AI が作業を加速させつつも、エンジニアが結果を方向づけます。
早期アクセスに関心がある場合は、プライベートプレビューのフォームからサインアップしてください。チームを段階的にオンボーディングし、初期ユーザーと緊密に連携しながら体験のブラッシュアップを進めています。
独自の AI インターフェースを構築する理由
AI はあらゆる開発者ツールの不可欠な一部となりつつあり、オブザーバビリティも例外ではありません。私たちは、チャットを中心とした体験に留めるのではなく、実際の調査がどのように行われているかを反映した協調型ノートブックのアプローチを提供しています。エンジニアは長年、問題への理解を深める過程でクエリ、可視化、メモを反復しながら探索的分析を行うためにノートブックを活用してきました。そのモデルをオブザーバビリティに持ち込むことで、エンジニアが確実に主導権を維持したまま、AI が随所で支援しながら段階的に調査を進められる場が生まれます。
本番環境のデバッグは反復的で構造化されたプロセスです。エンジニアはログ、メトリクス、トレースを行き来します。集計をドリルダウンし、未加工のイベントを確認し、時間範囲を調整し、仮説を検証します。この環境におけるあらゆる AI システムは、そのワークフローをサポートする必要があります。エンジニアに取って代わるかのように振る舞うのではなく、分析を加速させる存在であるべきです。
このため、Notebooks は協調型のワークフローとして設計されています。SRE が調査対象を定義し、すでに使い慣れている調査プリミティブを用いてプロセスを主導します。
人間の監視を前提とした設計
AI は分析を加速できますが、完璧になることはありません。本番環境のいかなるワークフローも、エンジニアがモデルの生成内容を確認、検証し、時には修正することを前提とする必要があります。Notebooks はその現実を踏まえて設計されており、SRE とモデルとのコラボレーションを効率的かつ明確なものにします。
Notebooks は、調査の各ステップを共有キャンバス上のセルとして記録します。セルには、ユーザープロンプト、モデルの推論過程と生成されたクエリのほか、SRE が手動で追加したグラフ、検索条件、メモを含めることができます。調査プロセスが一連の可視化されたステップとして展開されるため、いつでも確認、編集、拡張が可能です。
LLM による各ステップで ClickHouse クエリが生成され、分析における判断の各段階が個別のセルとして描画されるため、簡潔な要約が提示される前に結論に至る道筋を把握できます。回答はリアルタイムでストリーミングされるため、ユーザーは調査の進行状況をそのまま追跡できます。
重要な点として、Notebooks はハイブリッドなワークフローをサポートするように設計されているため、エンジニアはクエリを変更したり、グラフや検索を含む手動セルを挿入したりできます。ワークスペースを離れることなく自然言語プロンプトから手動で作成した SQL クエリへと移行でき、調査の任意の段階でグラフ、テーブル、イベント検索、Markdown メモを追加できます。キーボードショートカットやインライン編集により、素早い試行錯誤が可能です。
エンジニアは、AI が生成したステップを自由に修正したり、上書きしたりできます。協調モデルは明確です。AI が提案して作業を加速させ、エンジニアが検証して決定を下します。
ワークフローの分岐
ユーザーは、分岐機能を使用して、いつでも調査の方向性を切り替えることもできます。
この機能は、SRE と AI の効果的な協調に不可欠であると私たちは考えています。複雑なインシデントにおいて、調査の道筋が 1 つだけで完結することはめったにありません。レイテンシのスパイクが発生した場合、リージョン、デプロイのタイミング、ダウンストリームの依存関係など、さまざまな疑問が生じる可能性があります。それぞれの仮説は、個別に掘り下げていくことができます。
これをサポートするために、Notebooks では任意のセルから分岐でき、ユーザーがコンテキストを提供して新たな方向転換を指示できます。
以前の作業成果を失うことなく別の調査パスを検証でき、各推論の過程がナビゲーション可能なツリーの一部として保存されます。ここでは、各リーフが一過性のチャット履歴ではなく、完了した調査を表します。
ClickStack ツールとのネイティブな統合
Notebooks は、SQL の上にチャットインターフェースを重ねただけのものにとどまりません。また、MCP サーバー経由で単にデータベース接続を公開するだけのものでもありません。より深く、目的を絞り込んだ形で統合されており、モデルを ClickStack の調査プリミティブや内部 API に直接接続しています。
これらの内部 API は、モデルが呼び出せるツールとして機能します。利用可能なシグナルのメタデータを取得するものもあれば、構造化された検索の実行、特定サービスのエラー率の計算、選択したメトリクスの時系列チャートの生成を行うものもあります。モデルに生の SQL からすべてを構築させるのではなく、ClickStack のインターフェース自体を支えているのと同じ構成要素へのアクセスを提供しています。

「サービス別のエラー率を表示して」「過去 3 時間の低速クエリ上位を見つけて」といった質問をすると、モデルは単一の SQL クエリ文字列をそのまま出力するわけではありません。適切なツールを選択してオーケストレーションします。内部では、それらのツールが複数の最適化されたクエリを実行したり、事前定義された集約パターンを適用したり、マテリアライズドビューを経由してリクエストをルーティングしたりすることで、最終的な結果を効率的に組み立てます。
このアプローチにはいくつかの利点があります。モデルは、大規模なテーブルスキャンを回避するためのクエリのチャンク化、インクリメンタルな結果ストリーミング、事前計算されたビューの自動利用など、ClickStack に組み込まれたパフォーマンス最適化の恩恵を同様に享受できます。制約のない生の SQL を生成する代わりに、分析の意図と可視化の詳細の両方を捉えた構造化クエリ仕様を生成し、一貫性を保つよう設計された専用のエンドポイント経由で処理されます。
ただし、実行はすべて ClickHouse 上で行われます。生成された SQL は可視化されており、エンジニアは WHERE 句や GROUP BY 句を変更したり、サポートされている任意の集約関数を適用したりできます。システムは最適化され目的が絞り込まれていますが、ブラックボックスではありません。
現在、これらのツールは ClickStack の内部用です。将来的にはこの対象領域をさらに広く公開し、他のシステムでも同じ最適化された調査プリミティブを活用できるようにしていく予定です。
チーム向けに設計
Notebooks はコラボレーション環境を想定して設計されています。調査が単一のエンジニアだけで完結することは稀であり、私たちの長期的な方向性としても、複数の SRE が同じ分析に同時に貢献することを前提としています。ノートブックは非公開にしておくことも、チームメンバーと共有することもでき、権限や所有者も明確に可視化されます。タギングと検索によって整理や発見が容易になり、自動保存によって調査のコンテキストがチャット履歴の中に埋もれることなく確実に保持されます。

現在、プライベートプレビューの段階では、共有ノートブックはシンプルな「最後の書き込みを優先(last write wins)」モデルを採用しています。アーリーユーザーとともに体験を改善しながら、より高度な同時共同編集のサポートを進めています。
AI 機能はチーム単位で有効化または無効化することもでき、組織は AI 支援ワークフローをいつ、どのように導入するかを制御できます。
AI データプラットフォームとしての ClickHouse
ClickStack 内での私たちの AI へのアプローチは、意図して目的特化型(opinionated)にしています。Notebooks は構造化された共同作業スペースを提供し、SRE は既存のオブザーバビリティワークフローにとどまりながら、ログ、メトリクス、トレースをまたいだ分析を加速できます。エンジニアは ClickStack 内で主導権を握り続け、AI は根本原因に向けた別のパスを探る際のアシストや次のステップの提案を行います。
同時に、これは AI を活用したオブザーバビリティを構築する唯一の方法ではありません。ClickHouse は、進化を続ける AI 主導のオブザーバビリティやエージェント型 SRE プラットフォームのエコシステムにおいて、オープンな基盤として機能します。Resolve、WildMoose、Traversal といったツールは、SQL エンジンとして ClickHouse 上に構築することで、AI システムがコンテキストとパフォーマンスのために依存している高同時実行性、低レイテンシ、長期データ保持の恩恵を受けられます。
各プラットフォームは独自の抽象化や特化したレイヤーを持ち寄ります。その下に共有の高性能基盤が存在する限り、複数のアプローチが共存する余地が十分にあると私たちは考えています。
まとめと今後の展望
Notebooks をプライベートプレビューとしてリリースするのは、このワークフローが導入初日から有用であると考えているためです。同時に、今後取り組むべき重要な課題も控えています。短期的には、体験の洗練に注力します。より多くのチームが Notebooks を一緒に使い始めるにつれて、共有機能の改善、本格的な同時編集の実現、全体的なコラボレーションモデルの強化を進めていきます。
ユーザービリティの向上にとどまらず、私たちが積極的に検討している長期的な方向性もいくつかあります。
1 つは、現在 Notebooks を支えているのと同じ内部ツールをベースにした MCP サーバーの公開です。これらのツールは、ClickStack 内の最適化された検索、集約、チャート作成プリミティブをカプセル化しています。これらを外部から利用できるようにすることで、他のプラットフォームや独自のユーザーインターフェースが ClickStack と直接統合でき、Notebooks が内部で使用しているのと同じ高速化、クエリ最適化、構造化コンストラクトの恩恵を受けられるようになります。境界線は明確に保たれます。すなわち、構造化データとテキストを出力する調査プリミティブが公開され、その下で高速化された SQL が動作します。
また、個人レベルとチームレベルの双方でグローバルコンテキストをカスタマイズする方法も探っています。オブザーバビリティの調査は、環境、担当範囲、慣習によって左右されます。チームが共有コンテキストを制御できるようにすることで、AI による支援をチームの実際の運用体制により適合させることができます。
より短期的には、一般提供(GA)の前に Slack 統合を導入する予定です。これにより、信頼できる唯一の情報源(Source of Truth)としての構造化された Notebook ワークスペースを維持しながら、ユーザーが Slack から直接調査を開始し、対話できるようになります。
最後に、Notebooks は現在、意図的にコラボレーションを重視し、SRE が主導する形をとっていますが、ワークフローはいずれ進化していくと考えています。AI の機能は急速に進歩しており、今後 1 年でこれらのシステムがどこまで自律的になるかを予測するのは困難です。現在のモデルの限界を補うためにオーケストレーションをむやみに複雑化させる道を選ぶのではなく、私たちは対話のプリミティブを適切に整えることに集中しています。すなわち、透明性、構造化されたワークフロー、強力な調査構成要素、そして ClickHouse との緊密な統合です。
今すぐ始める
ClickHouse が自社データでどのように機能するか試してみませんか?ClickHouse Cloud は数分で利用開始でき、$300 分の無料クレジットを進呈しています。
サインアップ


